マレーシアの医療政策と制度:日本との違い

マレーシアと日本の医療制度には、根本的に一つの違いがある。

1. マレーシアの2段階構造の医療制度:公的と民間医療制度に分かれている。

マレーシアの医療制度は、2段階構造で成り立っている。その制度の一つは、マレーシア政府が税金を使い、資金提供をしているユニバーサル医療制度(公的医療制度)である。一方、大半が民間保険制度で医療費の払い戻しを受ける、もしくは患者の自費で成り立っている民間医療制度もある[3,4]。公的医療制度は全てのマレーシア国民に適用され、保健省によって管理されている政府系医療施設ではほぼ無料で医療サービスを受けることができる。マレーシアの政府系医療施設、特に三次病院や専門病院では設備が整っているが、政府系医療施設は通常混雑し、更に医療従事者の人員不足の為に、待ち時間がとても長い。これは、特に選択的手術や治療において言えることである[1,3]

高品質な医療の提供に必要なマレーシアの医療ニーズを支援する為に、マレーシアは民間病院やクリニックに対し、政府から経済的に独立し運営することを許可している。マレーシアの民間医療制度は政府の資金に頼らず、主に民間医療保険での医療費払い戻しや、民間治療を選択した患者より直接支払いを受け取っている。この営利目的の環境により、民間医療業界はマレーシア国内で大きく成長しており、最新の医薬品や医療設備を提供しながら、国内で医療サービス価格の競争を続けている。これに加えて、MOH Pharmaceutical Services Programme (PSP) [5,6]に登録されている医薬品を除き、民間部門で薬価を統制する制度や規則がない。言い換えれば、製薬メーカー、卸売業者や小売業者は、マレーシア国内の各民間病院に対して、自由な市場で医薬品の料金を提示することができる。

2. 国民健康保険制度で公的及び民間医療の両方がカバーされる。

日本では、医療費は主に国民健康保険もしくは被用者保険のどちらかによって払い戻しされる[7]
また、公立及び民間病院のどちらにおいても、国民健康保険制度で医療費が補償される。それ故、日本国民は受診する医療機関を選ぶ自由がより多くある。

表1:日本とマレーシアの医療制度に関する比較概要