再生医療と聞くと、皆さんはどのようなイメージを持つでしょうか?
ほうれい線が消える夢の医療でしょうか? 毛根再生? それともクローン人間?

試しに「再生」を辞書で引いてみると、以下の6つの意味が書かれています。

  1. 死にかかっていたもの、滅びかけていたものが生き返ること。また、生き返らせること。
  2. 心を改めてまともな生活に戻ること。更生。
  3. 廃品を原料にして再び製品を作り出すこと。
  4. 録音・録画したテープやディスクなどを装置にかけて、もとの音声・画像を出すこと。
  5. 失われた生体の一部が再び作り出されること。
  6. 心理学で、記銘され保持されていた経験内容を思い出すこと。

1.や2.の意味だと映画やドラマの世界の話になってしまいますね。
再生医療の「再生」とは、5.の意味で、傷を受けた細胞や組織、器官などが復元することを言います。
この「再生」ですぐに思い付くのは、トカゲのしっぽではないでしょうか。トカゲは敵(少年(の心を持った大人も含む))から襲われたとき、しっぽを切り離して逃げますが、しばらくすると前と同じようにしっぽが生えてきます。この「再生」を使って怪我や病気の治療を行うのが「再生医療」です。つまり「再生医療」とは、怪我や病気で損なわれた又は生まれつき損なわれていた細胞や組織、器官(場合によっては遺伝子の働き)を正常な状態に「再生」(=復元)させる治療です。機能が失われた細胞や組織、器官、遺伝子の働きを回復させる「再生医療」は、これまで対症療法しかなかった重篤な怪我や病気を根治できる可能性を秘めている治療だと言えます。

トカゲのしっぽ

しかし、残念ながらわれわれ人間は、トカゲのような再生能力を持っていません。人間が再生できる器官は肝臓ぐらいでしょうか。
ギリシャ神話には、天界の火を盗んで人類に与えたプロメテウスが、ゼウスの怒りを買い、磔にされ、毎日、鷲に肝臓をついばまれるという刑を受けるという話があります(夜の間に肝臓が「再生」され、翌日、また鷹についばまれるという刑です)。
ついばまれる対象が肝臓だったということは、昔の人も、「人間は、肝臓以外はほとんど再生能力を持っていない」という事に気付いていたのだと思います。そのため、太古から人はトカゲなどの再生能力を見て、「人間も再生ができれば」と憧れていました。
長い間、人間が夢見てきた「再生」ですが、現在ではES細胞やiPS細胞、遺伝子改変技術の登場により、夢物語ではなくなってきています。

再生医療等製品とは?

医薬品などを規制する法律である「薬事法」が2014年に「医薬品医療機器等法(薬機法)」へと変わり、「医薬品」、「医療機器」とは別に、新しく「再生医療等製品」という分類が出来ました。この、「再生医療等製品」とはどのような製品でしょうか?
再生医療(つまり細胞や組織、器官、遺伝子の働きを回復させるため)に使われる製品のことでしょうか?
じつは、薬機法の「再生医療等製品」とは、「遺伝子や細胞を使って疾患を治療、予防する製品」のことを指し、再生医療に使われる製品のことではありません。つまり、薬機法では、医薬品や医療機器に分類できない、遺伝子や細胞を使って治療する製品を「再生医療等製品」という名前で分類しました。日本では、「再生医療等製品」=「遺伝子・細胞治療製品」なのです。

例えば、がん治療は、がん細胞を殺すのが目的であり、細胞や組織の再生を目的とした再生医療(がん細胞を正常な細胞に復元するわけではない)ではありませんが、遺伝子(腫瘍溶解性ウイルス)や細胞(CAR-T細胞)を用いて行われるがん治療は、「再生医療等製品」に分類されます。逆に、将来、再生を促す薬剤が開発され、投薬により神経細胞を再生できる様になった場合、再生医療を行っていても、「医薬品」に分類されます。また、細胞の足場素材をチューブ状にして体内に留置し、患者の体内に存在する血管内皮細胞をチューブの内壁に生着させることで、血管再生を行う治療法が海外で開発されていますが、日本では、これは、「医療機器」に分類されます。

再生医療等製品(=遺伝子・細胞治療製品)は、生きた細胞やウイルスが製品なので、製造や品質管理、輸送保管、作用機序などが医薬品及び医療機器とはまったく異なります。
そのため、再生医療等製品の治験や臨床研究を実施する際には、これまでの医薬品及び医療機器で用いた手順書や体制とは異なる、再生医療用の手順書や体制を構築する必要があります。また、再生医療等製品の開発に従事する者には、細胞培養や遺伝子工学等の専門的及び科学的な知識と、それらの内容を当局、医療関係者、患者など、様々なステークホルダーに分かりやすく伝える能力が求められます。

医薬品、医療機器にあてはまらない細胞、遺伝子を用いて疾患を治療、予防する製品を「再生医療等製品」と分類した。

インテリムではこうした、再生医療に関する包括的な知識や、説明能力を特化して育成する再生医療スペシャリスト研修と認定試験を実施し、先進医療をけん引する人財の育成につとめています。

iPS細胞
合格者には取締役より直接 合格証が渡されます。

※次回コラムは細胞加工製品について

細胞加工製品とは? 

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